業界浮揚の鍵を握るネットショップ

クレジットカードは、利用されてこそ商品価値が上がります。しかし電子取引(EC)の普及で加盟店での利用はリアルからバーチャルな世界に移行しつつあります。

 

日本クレジットカード業界によると現在までの加盟店数は約2,255万店。その前年度に比べて約3 %増と伸び悩みの傾向が出ています。国内ノンバンク業態では最大の会員数を誇る銀行系クレジットカード業界で頭打ちの兆しがあるということは、クレジットカード全体を見ても加盟店数の伸びが鈍化していると言っても過言ではないでしょう。

 

もちろんこの数字は信販などの他業態とのダブルカウントになっていると思われます。なぜなら加盟店は複数のクレジットカード加盟店契約を結んでいるからです。

 

【ECにおける個人視聴は6兆円を超える】

加盟店数の減少傾向に対して急増しているのが電子取引(EC)におけるインターネットショップです。ショッピングモール最大手の楽天は100万を超える商品を取り扱っていると言われますが、その決済の4割がクレジットカードだと言われています。

 経済産業省が民間の研究と共同で行った調査によれば、 4年度のEC市場規模は100兆円を超えています。サイバーショットを個人が利用する「BtoC」のマーケットは約5.6兆円、ネットオークションをさせる「CtoC」も約7,800億円で、 ECにおける個人市場は6.4兆円とますます拡大しています。

  ECは口座振り込みなどもありますから単純比較はできませんが、 3年度の消費者信用与信供与額73兆円と比べると9%に相当します。クレジットカードは、 EC市場を無視して今後の戦略は建てられないでしょう。

 

ショッピングにしろキャッシングにしろインターネット決済は利用者からすれば、ポイント還元があるクレジットカードが断然有利です。銀行振込は手数料がかかる上に恩典がありません。しかし一方でクレジットカード会社から見ると、銀行引き落とし手数料は会社負担ですから、取扱量が増えなければ収益的には魅力がありません。

 

楽天などのショッピングモールとポイント交換するクレジットカードや審判も増えています。 JCBはすでにインターネット加盟店「e加盟店」を作り、ネットショップとの関係を強化しています。

 

クレジットカードはこれまで利用者のライフスタイルを先取りしてサービス拡大に努めてきました。街角の加盟店を新規開拓したとしても、今後は売り上げの急速な増加は見込めないと思われます。また加盟店の獲得や管理は経費増につながります。

 インターネットショップに対する戦略の立て方次第で、各社の営業に大きな差が出る事態はそう遠くはありません。業界の鍵をインターネットショップが握っています。