銀行の「消費者金融化」~「おまとめローン」とは?

銀行や信金などでは消費者金融信販の審査機能使い、借り入れを一本化する「おまとめローン」を扱うところが増えてきています。これは銀行の「消費者金融化」現象と言えるのです。

 

消費者金融信販、クレジットカードなどからの無担保ローンやキャッシングを複数の会社から借り入れて、毎月の返済にもんもんとしている人は少なくありません。こうした多重債務者は金利が高い業者から返済していき、返済金が底ををつくと業者と相談の上利息だけを返済するような時代に陥ってしまいます。

 

他社からの借り入れが多い顧客は消費者金融大手でも見されてしまうので、借り入れの申し込みをしても、断られる場合が多いのが実情です。中堅・中小の消費者金融の場合には本来他社借入が多い顧客が大部分ですから「おまとめローン」を取り扱う業者は少なくありません。しかしそれだけ回収・返済のリスクを承知の上で受け入れているのです。

 

消費者金融業界でもリスクが大きいと考える「ローン一本化」ビジネスに、第二地銀や信用金庫、信用組合がここ1年で積極的に参入するようになりました。この動きにはどんな背景があるのでしょうか?

 

【営業エリア居住と連帯保証人】

金融機関の最大の収入源は金利収入、すなわち利ザヤ稼ぎです。利ザヤは集まった預金を原資に、有志で運用していきます。つまりローン残高が増えなければ収益は上がらないということなのです。

しかしこのデフレ経済の中、預金の伸びも思わしくありません。 それならばリスクは覚悟の上融資を伸ばす方法を考えざるをえなくなります。

 

そこで出てきたのが「おまとめローン」なのです。消費者金融の与信ノウハウは都銀でさえも人目を置く優れたシステムです。地銀や信金が躊躇なく保証業務の提携を結んでも、だれも驚かない時代になりました。

 

「おまとめローン」にはいくつかの特徴があります。消費者金融信販会社などのノンバンクの保証が裏に控えていると言う事はもちろんなのですが、支店に近在している人を対象にし、連帯保証人が必要なことが消費者金融の「おまとめローン」と異なる点です。営業エリアに居住していれば回収や督促がしやすく、保証人を置くことで返済リスクを最小限にする狙いがあると思われます。

 

ノンバンク保証があるとは言え、その保証料は利用者のリスクに応じて高くなります。金融機関としては、少しでもリスクを抑えて保証をしてもらえれば、その収益が上がるのでこうした条件をつけているのです。

 

しかし考えてみると、ノンバンクで借り入れて返済困難に陥った人が金融機関でローンの一本化をしてもらい、その補償をめぐりめぐってノンバンクが請け負って彼らが保証料を稼ぐというのは皮肉なものですね。金融機関の審査能力が問われる話です。