最後に本格着手されたクレジット・信販会社の再編と統合
メインバンクである都市銀行が再編・統合したことから、
クレジットカード・信販などノンバンク各社の再編・統合も時間の問題と
言われていましたが、メガバンクグループは先送りしていたのです。
大手ノンバンクは、大手銀行からの長期借り入れで事業活動を展開してきました。
特に銀行系クレジットカードは親銀行から、信販は都銀や信託、長期信用銀行から
資金的支援を仰いでいたので、メインバンクが統合・合併といった再編に動き出すと、
その影響をもろに受けることになります。
メガバンクは当初、メインバンクとなっているノンバンクを
再編することには消極的でした。2000年に誕生したUFJホールディングス(元三菱UFJファイナンスグループ)は、銀行持ち株会社設立以前、支援先や購入先を含めて
グループ内に3つの大手信販、3つのクレジットがカード会社を持っていました。
しかし、信販会社はバブル時の不動産担保融資が不良債権化して多額の有利子負債を抱え、メインバンクの都銀に特別融資を受けていました。
つまり都銀が抱える不良債権の大口先がノンバンクだったので、系列ノンバンクの再編はまず不良債権処理という「後ろ向き」の課題を解決する事が先決だったのです。
【不良債権処理を優先】
メガバンクグループにおけるクレジットカード・信販の再編が遅れた理由は
まだあります。
1つは都銀が多くクレジットカードを抱えていたからです。例えば、旧第一勧業銀行は
関連子会社の「第一勧銀カード」があり、他の銀行と共同出資してUCカード、
日本ダイナースクラブを設立しました。他の銀行も事情は同じで、その後の社内整理などは面倒なものになったのです。
また都銀はここに来てキャッシュカードにクレジット機能を盛り込んだ
1枚かカードを次々に発表しはじめました。
そのクレジット機能は必ずしも子会社のクレジットカードとの一体化ではなく、
国際ブランドとの提携カードと言う色彩を持っているため、上記の友好関係を
維持してきたクレジットカード子会社との存在が宙に浮くケースも出てきて
しまいました。
信販会社の多くは「都銀の別働隊」として長年メインバンクのリーテル戦略の
肩代わりしてきただけに、不良債権処理にある程度の目処がつくと
再編が加速していきました。
しかしメガバンクとしてはグループ内にいくつもの信販会社があるのは
二重のシステム投資になるなど、今後の戦略上非効率です。そのため、他行に
実質的に売却したり、グループ内で合併させたりする働きが本格化していきました。
みずほFGではUCカードを業務処理専門会社に再構築し、会員獲得などの業務を
クレディセゾンが担うことになりました。その後三菱UFJニコスが誕生し、
クレジットカード・信販会社の再編は本格化していくことになりました。